過去ログ - かがみ達は深い霧に囚われたようです
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113:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:52:38.31 ID:xm2Rv5pmo

「―――ひゃん!」

 不意に首筋に冷たいものが触り、私は小さく悲鳴を上げた。
首元を確認すると、泉さんの小さな指が私の首に触れている。
彼女は子どものようにけたけたと笑った。

 その意図がわからずに戸惑う私に両手を伸ばすと、彼女は唇の両端に指先で触れ、そのまま口角を引っ張り上げた。
皮膚が優しく引き伸ばされる心地良い感触が、全身の緊張を和らげていく。

 一呼吸おいて、私も左手を伸ばし彼女の唇の端に触れる。
そして、私がされたように唇を引き上げた。
殊更に強調されたような笑顔が妙におかしくて、こらえきれず私は笑ってしまう。

 泉さんは満足したように頷くと、親指をピンと立てたグーを私に向けて突き出した。
私も同じかたちを作って、彼女に向けて手を差し出した。
互いの手をコツンとぶつけて、笑顔を交換する。

 それだけで緊張は嘘のように消え去り、暖かな喜びが胸を満たした。



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