過去ログ - かがみ達は深い霧に囚われたようです
↓ 1- 覧 板 20
114:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:53:51.95 ID:xm2Rv5pmo
泉さんが改めてドアノブを掴み、私は消火器を構える。
先程のように合図を交わすと、彼女はゆっくりと右手をひねっていく。
115:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:54:30.70 ID:xm2Rv5pmo
それからの数十秒のこと。生涯私の記憶から消えはしないだろう。
116:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:55:50.58 ID:xm2Rv5pmo
少しだけ開いた隙間から腕が伸び、泉さんの手首を掴む。
蝋のように白く、痣のような青黒い斑点が散らばる、幽鬼のような左手。
そう、それが左手であったことすら、鮮明に脳に刻み込まれた。
117:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:57:17.91 ID:xm2Rv5pmo
「やだ! 痛い! 痛いよ!」
彼女はもう肩まで室内に吸い込まれている。
小早川さんとみなみさんが、彼女の左手を掴んでいた。
118:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:58:16.06 ID:xm2Rv5pmo
脳は芯まで冷たくなりながらその光景を克明に記憶していく。
私は痛む胸を押さえ、無理矢理に呼吸をして、彼女へ歩を進める。
私が助けるべきその人の名前を、うわごとのように吐き出しながら。
彼女に触れられた唇から、彼女の名前をこぼしながら。
119:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 00:59:27.94 ID:xm2Rv5pmo
その指は、私の掌から虚しくすり抜けていった。
120:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 01:01:16.12 ID:xm2Rv5pmo
彼女は悲鳴の残響だけを残して室内へ引き摺り込まれ、閉じられた扉からは鍵を下ろす冷たい金属音が響く。
私はただ呆然と扉の前に座り込む。
掌にはすり抜けていった指先の感触がじんわりと残り、網膜には引き摺り込まれる瞬間の彼女の瞳の色が焼き付いていた。
121:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 01:02:21.09 ID:xm2Rv5pmo
誰かのすすり泣きが響く中で、私の頭の中では彼女の最期が幾度も繰り返されていた。
いっそ気が狂ってしまったほうが、どれほど楽になれるだろう。
何がいけなかったのか。
122:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 01:04:36.63 ID:xm2Rv5pmo
***
123:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 01:12:17.16 ID:xm2Rv5pmo
本日は以上であります!
週末鯖重いな、引くわ!
その煽りをくらったので些細な修正、>>122の場面転換の合図を>>90と>>91の間にコピペお願いします脳内で。
124:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[saga]
2011/07/31(日) 01:17:53.25 ID:xm2Rv5pmo
資料
3階見取り図
廊下の長さとか部屋の広さとかありますんで、あくまでイメージ程度でお役立てください
324Res/151.71 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。