過去ログ - 【ポケモンSS】タイトルは決まっている
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30: ◆.Br/vY/Hx.[sage]
2011/07/22(金) 02:36:53.31 ID:lvNVTI/v0
第2話

 模擬戦の授業は、自分の番が終わったら基本的には授業が終わるまでは休憩。
 一応、教室内にいるのが原則だがそれを守っている生徒は少ない。先生もいちいち取り締まってはいられない。
 シズクは廊下を進み、階段を上る。透き通った青空が見える誰も居ない屋上、シズクの安息の場所。
 隅の方まで歩いて柵に手を掛ける。

「はぁ〜」

 しゃがみ込んで深い溜息を吐く。
 屋上からの景色、トキワの森で虫取りをしている数名の生徒達が見える。

(昆虫科? お気楽ね)

 溜息の後に座り込む。腰からボールを一つ手に取って、ジーッと眺める。

「痛かったねぇ……さっきの体当たり」

 ボールを左右に小さく振って少し寂しそうな顔で話かける。
 そのまま腰を降ろし、体育座りをして俯いて黙る。
 そこに一匹のピカチュウが寄って来て俯くシズクの隣にチョコンと座った。
 俯いたまま少し頭を傾けて、そのピカチュウを確認する。

(ピカチュウ?)

 すると後ろから足音が聞こえてきた。

「おいおい、先に行くなよピカチュウ……ん? 誰か泣いてるのか?」

 気の抜けた緩い声、隣にいたピカチュウはすぐにその男の元へと走って行く。
 ゆっくりと近づく足音、どうやら男はシズクに向かって歩いてきているようだ。

「どうしたんだ? ここは一人で泣くような場所じゃねーよ」

 先程のシズクと同じように柵越しに外を見ながら男が喋りかける。

「泣いてません」

 その言葉にグッと頭を上げるシズク。

「おやおや、確かさっきルリカ嬢に完敗を規したシズクさんだったかな?」
「……誰?」

 すると男はシズクの横に腰掛ける。同時に、ピカチュウがその男の頭に乗っかる。

「同じクラスになって半年だというのに覚えて欲しいね。俺は、ジルだよ。専攻は雷の予定」

 頭に乗っているピカチュウを指差して笑顔で話す。シズクと同じクラスの生徒である。
 この学校では2年生になると、属性別の専門授業があるようだ。
 ジルは、態勢を変え柵に背を向ける。

「だったら昆虫科の見学? あんまり虫カゴは似合いそうにないけど?」
 
 先ほど下に見えるトキワの森を確認したのか親指で森を指して笑顔を見せる。
 親しく話そうとするジルに対して、シズクは無言で立ち上がりボールを腰に収める。
 そのまま振り返って、屋上の入り口に向かって静かに歩きだす。
 それに気付いたジルは一瞬、見下すような鋭い視線を見せシズクの背を睨みつけた!
「クールぶってるくせに、落ちこぼれなのか?」
 その棘のある言葉が霧消に頭に来たシズクは眉にしわを寄せ振り返る。
 すでにジルは方膝を付き自分のピカチュウの頭を撫でていた。先程の圧力は感じられない。
「だって、そうだろ? ルリカの攻撃は体当たりから"かえんほうしゃ"への連携にあった。
あの体当たりは囮みたいなもの、それは彼女も分かっていた。それなのに、その体当たりが直撃」
 呆れたような小さな溜息をついた後にピカチュウを肩の上に乗せて立ち上がりシズクに近づいて来る。
 対峙、向かい合って分かるジルの圧力。緩い感じの声とは真逆の存在感。
 シズクの視線はジルの肩ぐらいの高さ、ちょうどそこに乗るピカチュウが無邪気にシズクの頭を触る。
「このトレーナーズベルト……そうなってるんだね」
 ピカチュウに気を取られている間にジルはシズクの上着を軽く捲っていた。
 シズクのパンツに巻かれているベルトを見て呟く。
「ちょっと……! 何をッ」
バン! とジルの胸を押して間を取る。ふらふらになった落ちそうになるピカチュウが慌ただしい。
「ポケモンを3匹しか持っていないんじゃなくて、そのベルトには3ヵ所しかボールをつける所が無かった。
 通常、商品化されているトレーナーズベルトは最低でも6ヵ所の設置場所が存在している。おかしいと思ったんだ」
 軽くベルトを指差して不敵な笑みを見せる。
「見たのッ?!」
 睨みつける嫌悪な表情。フッと小さく笑って見せるジル。
「誰にでも隠し事ってあるもんだよ」
そう小さな声で呟くとシズクの横を通り抜け、屋上の出口へと向かって歩き出す。


続く……


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