過去ログ - 【ポケモンSS】タイトルは決まっている
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36: ◆.Br/vY/Hx.[sage]
2011/07/22(金) 02:47:29.71 ID:lvNVTI/v0
それだけでは無かった。シズクは先程の「誰にでも隠し事ってあるもんだよ」というジルの一言。
 つまりそれは、ジルにも何か隠し事があり。あまり、それを詮索しないという性格と予想してのことだった。

「いや、まいったね。"落ちこぼれちゃん"にそんな能力があったとわ」

 ははっと笑いながら一歩づつシズクに向かって歩き出す。
 先程座っていた柵の方にまで再び歩く。

「また言った!!」

 頬をプクッと膨らませて頭だけ振り返るシズク。
 それを見て「プッ」と吹きながらも歩を進めシズクの横に立つ。

「悪い悪い。そんな顔も出来るじゃないか」

 一戦交え、話を聞いて一気に交友関係が良好になる二人。
 ジルは先程と同じようにそこに腰かけ、ピカチュウの入ったボールを取り出した。

「なぁ、俺のピカチュウは何て言ってる?」

 試すように手に取ったボールをシズクに向けて伸ばす。
 それに気付いたシズクはボールを受け取って、ジルの隣に腰掛ける。
 先ほど対戦前に見せたように瞳を閉じてボールを両手で包むようにして持つ。

「今度は負けないって、嫌われちゃったかな?」

 少しムッとしてボールを投げ返す。手を伸ばせば届く距離なのに投げられて一瞬驚き慌ててキャッチするジル。

「じゃあ、あの"高速移動"は? 何であれだけ指示を出したんだ?」
「ぇ、あれはピカチュウが思いのほか後ろに弾いちゃったから……かな?」
「ふーん、なるほどね。 さっきみたいにボールかポケモンに直接触れてみないと分からない訳だ」

 人差し指を立てて少し得意気に語るジル。
 指摘されて少し恥ずかしそうに「うん」と頷く。シズク的には"この話"を真面目に聞いてくれる人がいて嬉しいという感じである。

「ぁ、でも。分かる子もいるの……離れていても」
「?」

 するとシズクはベルトからミニリュウのとは異なるモンスターボールを一つ取り出して手の上に乗せる。

「この子は"リオル" 昔からずっと一緒にいるんだけど。この子の声は何処にいても聞こえるんだ」
「"波紋ポケモン"か…… なるほど、そいつなら分からない事も無いな」

 右手を顎に添えて考えるような素振りを見せるジル。
 リオルは、人間の言葉を理解できるポケモンとしても有名であり、その波動も解明されている。

「……」

 ボールに入ったリオルを手に固まるシズク。
 
「どうした?」

 ジルの声に我に変えるシズク、少し焦った感じで頬を赤くしつつボールを片手に持つ。

「リオルがね。私のこと"楽しそう"だって」
「俺もそう思うよ」

 クスっと小さく笑った後にジルがそう付け加える。
 そして、立ち上がり首を左右にゴキゴキと傾け伸びをする。

「そろそろ戻らないといけない時間だ」

 腕に巻いた時計を確認するジル、そろそろ模擬戦の授業が終わる頃である。
 シズクも小さく頷いて立ち上がる。ジルは、再びピカチュウの入ったボールを取り出し地面に落とす。

「ピカーッ」

 先程の戦闘から少しボールの中で癒えたのか元気なピカチュウが飛び出した。
 シズクの方を向いて少し強気な目つきになりシュッシュッと手でワンツーのポーズを取った後にジルの肩に飛び乗る。

「こいつが近くにいないと不安でね。俺は先に行くよ、また今度……その"ベルト"の話とか聞かせてよ」

 ニッと笑みを見せてジルは先に屋上から立ち去って行った。
 誰一人いない屋上にただ一人のシズク、立ち去るジルをただ静かに見ていた。

(……惚れたな)
「ウルサイッ!! リオルッ!」

 開閉スイッチを押さずにボールを地面に叩きつける!

続く……


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