101: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/02(火) 04:10:53.56 ID:5bPZYY3Ko
「ッ……。何で知っているのかな?そのようなことを」
「いやはや、私も驚きましたけどねー。何度も通ってお世話になったラボが襲撃されるなんて。
こう見えてラボの方には足繁く通わせて貰っていたのでね。お陰で研究の参考になったのですが……
とにかく、誰も怪我をしていないようで、安心しましたよお」
「私は、何故そのような事を知っている、と聞いているんだ」
ギン、と田木原を睨みつける。
疑いの目を向けられた田木原は、飄々とした態度で言葉を続ける。
「はあ、そう言われましても……『足繁く』通ったおかげで、研究員の方と『仲良く』なったからですかねえ。
情報封鎖されているとはいえ、人の口に戸は立てられない、と言うじゃないですかあ」
ニコニコと、がニヤニヤに変わった瞬間である。
それまで不快感を煽っていた笑みは、一層嫌悪感を煽る物に変貌を遂げた。
しかし、それが本来の表情であると感じ取れる程の自然な笑みで。
まるで勝ち誇るかのような笑みを見た美鶴は、確信を持ち、核心に迫る。
「……貴様か」
「はい?」
「貴様がやった、と言う事か?」
美鶴の言葉を受け、田木原の笑みはなりを潜め、再び胡散臭いものに戻る。
「いやだなあ、それは冤罪と言うやつですよお。僕はやってませんよ?
それにしても残念ですね、私が資料をもらい受ける前に奪われるとは……
と言う事はすなわち、私がここに来るのも最期と言う訳ですね」
「別に来てほしい等と思ってはいない」
「くくっ……手厳しいですねえ」
「それで、何の用だ?ここにはお前が欲しいものなど残ってはいないはずだ」
「いえ……『居なくなった』研究者の代わり、うちから派遣してもいいですよ?
それだけ尋ねようと思いまして」
「要らん。と言うより貴様の所から人材を借りるよりも、学園都市にこちらの人員を送った方が後々利益になる」
「そうですかあ……そりゃ残念。あ、もし人材をこちらに派遣したいのであればいつでもご連絡下さいな」
別に本気で研究者を派遣したい訳では無いらしく、田木原はすぐに身を引いた。
言いたい事は挨拶のみだったらしく、踵を返し、執務室を後にしようとするが。
「そうそう、桐条さんのとこのような大企業には、『スパイ』ってのはよくある話ですからねえ。
何て言うんでしたっけ、産業スパイって言うのかな?まあ何にせよ、気をつけて下さいね」
意味深な一言を言い放つ。
それでは、縁があればそのうち。と、田木原は立ち去った。
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