271: ◆DAbxBtgEsc[saga sage]
2011/08/14(日) 03:32:49.03 ID:xlKYvBbQo
・・・
「あなたの交友関係って謎が多すぎるよね」
久慈川りせと月詠小萌は、一方通行を近くの病院まで連れて行くと、
小萌先生は実は先生らしいので、他の生徒達も見なければならない、と言ってこの場を久慈川に任せて立ち去った。
実は教師、と言う事実に驚きを隠せない一方通行と久慈川だが、兎にも角にもさっさと治療を受けなければ、
と言う事で妹達の件で世話になっているカエル顔をした医者があっという間に一方通行の傷を治療していった。
そして1時間もしないうちに治療を終え、
病室へと押しこまれた一方通行の元に、久慈川がやって来ている。
久慈川はパタパタと手で自分を仰ぎながら、一方通行の謎すぎる顔の広さについて問うた。
この大覇星祭と言う名の体育祭は、全校生徒が参加しなければならない。
例外として実行委員やジャッジメントは除外されるが、一方通行はそれには属していないと言う。
ならば学生では無いと言うのに能力者で、
かつアンチスキルやら学生やら見知らぬシスターやら神父やらと知り合っているのだから謎すぎる。
「あァ?……そォ言われりゃ俺でも理解出来ねェな……」
久慈川の言葉に同意しつつ、一方通行は首をかしげた。
自分でも知らないうちに色んな人と仲良くなる。
それは久慈川に無いもので。
喉から手が出る程に、とてもとてもうらやましいものだった。
「私ね、本当はただ友達が欲しくて、情けない自分を変えたくて、この仕事はじめたんだ」
ポツリと語りだす。
一方通行が押しこまれた病室は個室だった為、久慈川の声は一方通行にしか届かない。
「それでがむしゃらにここまでやって来たけど、結局何も変わってないの」
何故このような事を一方通行に話すのか。
彼自身には分からないが、久慈川も何か思う事があったのだろう。
一方通行はただ耳を傾けていた。
「皆が見てるのは、底抜けに明るくて前向きな『りせちー』だけ。
私の事なんて誰も見てくれない……」
どうせ明日以降会う事は無いのだから、愚痴るだけ愚痴ってしまえ。
そのような事を久慈川は考えているのだろうか、ただただ思いの丈を吐きだす。
「結局、本当の自分なんて何処にも居ないんだなあって思うと、
こうやってテレビ出てるのも馬鹿らしくなってきちゃって……」
一息ついて、続ける。
「どうしたらいいのか、分かんないの」
「……そォだな、『りせちー』って人間すら、自分自身だって思いこンじまえば良いンじゃねェのか?」
「えっ?」
思わぬ返答だった。
『りせちー』は自分ではない、と言っているのにそれを自分だと思う。
とてもじゃないが久慈川が一人で考え続けても思いつくものではなかった。
それだけに興味深い意見で、久慈川は一方通行の言葉を待つ。
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