321: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/16(火) 09:35:34.55 ID:9TmIZQtZo
それでも、女性のシルエットは動きを見せず、
「『ローマ教皇』。それがどうしたの?」
ローマ教皇、すなわち20億の信奉者を抱える宗派の中でも、その頂点に立つ人間。
その頂点に対して、女性の声は対等な口調、
いや女性の方が上位に当たるかのような口調で話を続けた。
先程までのローマ教皇によって支配されていた空気が一気に弛緩する。
それほどまでに軽い口調だった。
「ま、何でもいいわ。アンタが『名目上』てっぺんに位置しているのは事実だし。
そう言う訳でこれにサインして頂戴な」
「……全く、この私に命令形か」
明らかな不遜。
不敬で首を飛ばされてもおかしくは無い態度で女性は1枚の書類を取りだした。
そんな女性の態度に教皇はピクリと反応を示すが、これの態度は今に始まった事では無い。
ポツリと愚痴をこぼした後、書類に目を通す。
「……!待て、これは」
「何よ、アンタだって2年か3年か、そのうちしたらこの書類を用意するつもりだったんでしょ?
いずれやるなら遅かれ早かれ関係ない。それなら今やればいい、違う?」
「しかし……魔術に深く関わる者ならともかく、彼のもの達は主とするものを知らぬだけ。
それなら彼らに示してやればいい。真に従うべき主を」
「『ローマ正教に盾突いた』、それだけで十分罪深いことよ。
『アドリア海の女王』と『法の書』での騒動……表立って動いた馬鹿と裏で動いた阿呆。
目立とうが目立つまいが、罪は罪。それを裁くか裁かないかは私次第」
「確かに、異教は罪だが、知らぬだけならまだ救いの道はある。
それを見せないうちにここまでするとなると、私も否定的な意見を出さざるを得ない」
「この私に否定形は無い」
教皇の意見を、一言で断ち切る。
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