322: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/08/16(火) 09:37:00.32 ID:9TmIZQtZo
「受動、連用、連体、命令、未然、已然、終止、仮定……後何だっけ?まあこんなもんか。
兎に角、私は否定だけは認めない。私がやれっていったらやる。
それはそこらを歩いてるガキだろうと、ローマ教皇だろうと『神の子』だろうと等しく同じ。
だからアンタはこの書類にサインをするの。分かった?」
教皇は僅かながら苦々しげな表情を浮かべながらも、首を縦に振った。
女性はそれを見て満足そうにうなずく。
「よろしい」
それだけ言うと、女性の影は闇に消えた。
本当に姿を消したのか、はたまたそのように見せかけたのかはわからない。
というより教皇はそんなことを考えはしなかった。その代わりに、書類へと目を落とす。
やはりといえばやはりだが、その内容は最初に読んだ通りのものだった。
(……あやつは性急すぎるきらいがある)
老人は忌々しげな表情を浮かべると、書類にサインをすべく自身の居室に戻ることにする。
この場にペンは無い。そして、書類にはこのように記載されていた。
それを日本語に訳すると、
『上条当麻及び学園都市第一位『一方通行』。
上記の者達を速やかに調査し、主の敵と認められし時は確実に殺害せよ』
というもの。
前者はローマ正教の司教を撃破し、後者は『法の書』の騒動において裏で糸を引いていたと思われる人間と似た容姿をしている。
後者に関しては正しい情報かはわからないが、所詮は科学の徒でローマ正教の敵。
いつ処分に動いても同じなのだから、今処分してしまえという考えだろうか。
なんにせよ、実質的にはローマ正教が総力を挙げ、
たとえ『神の右席』を使おうとも、確実に暗殺するようにするための申請書だった。
これが意味する事は、1つ。
『神の右席』が1人、『前方のヴェント』……先の女性が動く、と言う事だ。
その書類を読み終える頃には自身の居室までたどり着いており、
ローマ教皇はキリキリと痛む胃を抑えるように腹を抱えながら、
書類にサインするべくペンを走らせるのだった。
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