510: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/05(月) 02:26:31.29 ID:GQuHMGOqo
「そんなこたぁここに居る全員が知ってるっての」
何を急に、と言った表情でナンシーの同僚は
拳銃に弾を込めながら呆れた様子で突っ込みを入れた。
「ま、有り体に言えばどうせ死ぬなら、なるべく楽な道を進みたいわよねって話よ。
何が楽しくて超能力者何かと戦わなきゃならんのさ」
ナンシーに宿っている感情、それは諦念。
自分がクズである事はとうの昔に知っているし、
自分が無様に死ぬと言うのも暗部に落ちた瞬間に理解している。
木原数多と言う男の下についた時点で、明日死ぬかもしれないし
今すぐ死ぬかもしれないし、何にせよ長生き等望めるはずもない。
とはいえ自殺しようと言う気にもならないナンシーは、
どうせ死ぬなら困難はなるべく避けたい、そのように考えて今までの任務も気を抜いて行ってきていた。
今回も、例え相手が学園都市最強といえどもその精神は変わらない。
いつも通り楽な道を選び、任務に失敗したらあっけなく死んでしまおう。
そして「時間稼ぎか撃破のどちらか」と言うのなら、迷わず時間稼ぎを選ぼう。
と言っても、何も無い状態で時間稼ぎと撃破を比較したら、
そんなん無能力者のナンシーからしたら五十歩百歩で縊り殺されるのがオチだろう。
しかし、今回は違う。
作戦の為の装備と場所は、既にそこにあるのだから。
「ここが『表』の研究しかしてないってのと、木原の名前に宿ったブランド。
そして私らの格好を考えたら、わざわざ反射を貫く方法考える必要も無いって事よ」
嗅覚センサーは、相手の大まかな位置を知らせる事は出来るものの、
はっきりと何処に居るのかまでは分からない。
何せ匂いを追う為だけの機械なのだから、そこに地図などはインプットされていないのだから。
そんな訳で、この研究所内に一方通行が居る事は分かっている為、一先ず嗅覚センサーは用無しである。
ナンシーはスッと立ち上がると嗅覚センサーを腰に差し、
軽くストレッチをしながら床に放置していた装備品を拾い上げた。
「どっからどうやってこの場にやって来たかは知らないけど……」
彼女はニヤリと意地悪な笑みを浮かべながら、呟く。
「何にも情報すら得られないまま時間つぶしてしまえば良いのよ、主に私の為に」
855Res/840.44 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。