537: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/09(金) 14:40:29.20 ID:5XMi+z0uo
・・・
木山春生は逃げる。
この研究所内は隅々まで歩きまわったので監視カメラの死角を縫って行くのは容易い。
ナンシーの追走を振り切ると、監視カメラにも気を回して見つからないように隠れる事にした。
とはいえ、逆に死角を縫って捜索されればすぐに見つかるだろう。
どう考えても、敵は単独では無く複数で行動しているはずだ。
そして何より、木山自身が戦闘を得意としない。
何度も言うようだが、彼女は素人なのだ。
確かに戦闘は経験した事はあるものの、訓練していた訳でも無い。
(それでも上手く撒けたのは、見逃してもらったと言う事だろうか……?)
そんな事があるのだろうか。
木山は監視カメラに気を使いながらも、思考の渦に呑まれていく。
一方で、ナンシーは動くのが面倒なのか、本来のポイントに戻っていた。
『あー、こちらナンシー。目標喪失。多分監視カメラにも映ってないから
所内の見取図と比較してカメラの死角を挙げてってー。多分そこに隠れてるから』
『了解……ナンシー、お前のやる気の無さは前から知ってたが……
もう少し本気出さないか?俺はまだ死にたくねーんだけど』
『はいはい、それじゃ私の分まで頑張って頂戴』
ナンシーの面倒くさそうな声に、監視カメラを監視しているクリスが苦言を漏らした。
適当な返事をして無線を切ると、ナンシーはそんなクリスの言葉に嘲るように笑う。
「なーに言ってんのよ、私らみたいなクズが生きたいなんて望み叶えられる訳ないでしょー。
それを叶えるには、クズなりに有能になって周りの人間出し抜く位出来ないとねー」
こんな肥溜めで燻ってる時点で、たかが知れてるっつーの。
ナンシーの独白……もとい毒吐くは小さく所内に響き渡った。
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