597: ◆DAbxBtgEsc[saga]
2011/09/18(日) 23:50:42.55 ID:lqTf1nfxo
「あれには確かに心がある……いえ、その表現は正しくないわね……
言うならば、『心そのもの』だと思う」
「ハァ?」
どういう事だ、と尋ねる間にも、騎士はこちらめがけて再び突進してきている。
垣根は舌打ちをしながら、彼女の話を聞く為に一旦空へと回避しようと
再び翼を展開してドレスの少女を小脇にかかえて飛び立った。
「……もうちょっとイイ感じの抱え方は無かったの?」
意外と力持ちだな、とドレスの少女は思う。
と言っても自分はそこまで重くは無いはずだと脳内で訂正を入れる。
それに続いて、お腹を抱えられ、両手両足をだらんと地面の方に向けながら
不平を洩らすドレスの少女だったが、垣根は完全にその言葉を無視して続けた。
「で、どういうことだ?」
「……何て言うか、人間って複雑な感情が一緒くたに混ぜられてるから、
一度測ってみるだけでも色々と距離がわかるのよね。
それで、例えただの動物を相手にしても人間程じゃないけど、
対象にした者に対する心の距離をそれなりに見ることが出来るの。
でもね、あれは違った。あれには一つしかなかった。
どんなに心を殺した人間にも、あそこまで洗練できるはずが無い。
ましてやただの無機物から観測出来て良いはずが無いのよ」
「……1つってーと?」
「……食、欲」
「……うげぇ」
どう表現したらいいのか分からなかったのか、
ドレスの少女は言葉を選ぶようにゆっくりと口を開いたが、垣根はその言葉にドン引きした。
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