36:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/16(火) 00:26:40.07 ID:xA3bNg18o
『我慢せい貴様ッッ!!それでも帝国軍人か!!動くんじゃない!!おい、鉗子よこせ!』
「はい!鉗子っ!」
澪ちゃんが慣れた手つきで鉗子を軍医さんに手渡します。
あの怖がりやの澪ちゃんを知っている私たちにはウソのような光景です。
兵隊さんの脚には、止血のため血管を挟んだ鉗子が何本も連なり、血に濡れた銀色の花みたいです。
軍医さんが、額に玉のような汗を浮かべ、ノコギリで骨をゴリゴリと削っていきます。
『いぃぎいぃぃぃ!!ぐぐぐぐぐぁぁぁぁ!!!!』
手術台の上の絶叫は、さらに大きくなります。軍医さんも声を荒げます。
『うるさくてかなわん!仕方ない、モルヒネ足してやれ!』
「ほいっ!モルヒネ打ちます!」
私は軍医さんの指示で、すかさず兵隊さんにモルヒネを注射します。
私たちは看護婦さんの見よう見まねで、カンフルもモルヒネもどんどん打ちました。
ズズン。 ドズン。
ときどき、砲弾が近くに落ちると、壕の天井の土が崩れます。
そして天板のすき間から、土砂がバサバサと容赦なく手術台に降り注ぐのです。
『くそっ!こんなところで手術ができるか!!』
軍医さんが叫びます。やがて、ゴリッといやな音がして、骨が切断されます。
(この兵隊さん、朝まで持つのかな……)
私たちは、そんなことを思いながら、左脚の切断面がてきぱきと縫合されていくのを眺めていました。
すると、軍医さんが私に命じます。
『ご苦労だったな、お前ら。少し休め。……おいお前。これ外に捨ててこい』
そう言って、軍医さんがあごで示したところには、切断した左脚が転がっていました。
「は、はいっ!」
私は、言われるままに切断された脚を抱きかかえると、まだ体温が残っていて生暖かく、ズシリと重くて不気味でした……。
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