37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/16(火) 00:32:49.73 ID:xA3bNg18o
―――「……いっち、にーの、さん!」
明け方、澪ちゃんと一緒に艦砲の弾痕に死体を毛布にくるんで捨てに行きました。
今日は7体も捨てたのです。
初めはちゃんと墓穴を掘って埋めていたけれど、そんな余裕は今はとてもありません。
「あの兵隊さん、やっぱり朝まで持たなかったね……」
「そうだな……」
「ガス壊疽になると、あっという間だね……」
「うん……」
壕に引き上げようとすると、澪ちゃんが真っ暗な砲弾痕、つまり墓穴の底をじっとながめています。
「外にいると危ないよ!早く壕に入ろうよ」
私が澪ちゃんの手を引くと、ゆらりと倒れかかってきました。
「ど、どうしたの?大丈夫?お腹空いた?」
「……怖いんだ」
「そっか、そうだよね。澪ちゃん、怖がりなのに、こんなことしてるんだもん」
私はてっきり、そう思って慰めの言葉をかけたのですが、
澪ちゃんは体を震わせながら激しく反駁するのです。
「違うっ!」
「え、何が違うの……?」
私は、澪ちゃんの強い口調にあっけに取られ、間抜けな返事をしてしまいました。
「こんなとこで、こんなことしてるのに……怖くないのが……怖いんだ……っ」
そう言って、澪ちゃんは私の胸にしがみつくと、さめざめと泣いたのです。
「澪ちゃん……」
私は、「怖い」という感覚どころか、「怖くないのが怖い」なんていう、
当たり前の感覚さえ失われつつあるんだと気付かされ、
とても、とても、寂しくなりました。
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