11:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(不明なsoftbank)[sage]
2011/08/28(日) 01:34:05.83 ID:7L728IKno
改めてポーチの中身を漁っていると、小さな不安に襲われた。
何しろ私は今までお化粧なんてしたことがない。
平日は学校に行くからその必要もなくて、休日はごろごろしてて、それに――お洒落した姿を見せたい相手が居なかったから。
初めて手に取る化粧品の数々に戸惑っていると、すっと伸びてくる手。
「やってあげるわ」
「え?」
「お化粧するの、初めてなんでしょ?」
さわちゃんは新品のアイシャドーを手に取った。
「……変なメイクしないでよ」
「大丈夫。とびきり可愛くしてあげるから」
「あ、ファンデーション買ってない」
「いらないわよ、肌綺麗だし。あーもう、羨ましいわね」
さわちゃんは私の頬を両手で挟んで笑った。
そして「目を閉じて」と言われて緊張しながら瞼を閉じる。
真っ暗な視界。
今、さわちゃんがどこにいるのか、何をしているのかわからない。
わかるのは、その気配だけだ。
さわちゃんの指が瞼に触れていく。
それからすぐに、顔の周りの温度が少し上がったような気がした。
多分、今、目を開ければ、すっごく近いところにさわちゃんの顔がある。
「……っ、」
さわちゃんの指の温度が伝わってくる。
集中しようと思ってぎゅっと目を瞑ってみたけれど、一度考えてしまった他のことがぐるぐると頭の中を駆け巡っていた。
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