105:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/09/05(月) 00:59:49.48 ID:wbDVTs5Go
突き詰めて考えてみよう。そう思った彼は、今までの記憶を辿ってみることにした。
どこからがいいだろう。どこで失敗したのだろう。
考えるまでもなく、高校を辞めたことが思い当たった。
一週間で学校をやめたこと。どう考えても早計だった。何かを判断するにはまだ早すぎた。
高校を辞めたのは、「ああ、こんなものか」という失望が理由だと当時は思っていた。
今思えばまるで違う。自分だけが受験に合格し、友人が落ちたことで、彼はひとりになった。
ひとりはとても不安だった。
不安に耐える術を彼はしらなかった。だから逃げ出した。逃げ込んだ。そういうことだろう。
――それが原因だろうか? 違うと彼は思った。
高校を中退したって、生きていく術なんていくつでもある。
バイトでも何でもすればフリーターにはなれる。いまどき二十台のフリーターなんて街に溢れている。
世間的に弱者であり、ともすれば敗者と受け取られかねないが、それでも生活はできている人が多数だ。
将来が不安ではないのかと人は問うかもしれないが、そう訊ねる人には、ならば貴方は不安ではないのかと問うのがいいだろう。
結局、みんな未来が見えないから、どこかで不安を感じているのだ。彼はそう思い、瞼を閉じた。
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