42:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/29(月) 11:49:12.21 ID:PjuOVipoo
「俺は確かに怠惰だった。苦労を背負うのが嫌で、全部投げ出した。でも、これはなんだ?」
あるいは、自分が思っているほど、現状は絶望的ではないのだろうか。
誰でも簡単に抜け出せるような場所なのか。それとも、こんなのは問題にすらならないのだろうか。
実際に彼を悩ませているものなど、ただの未来に対する不安でしかない。現在、彼を拘束しているものは何一つ無い。
それでも彼は、何かの一歩踏み出すことに心底恐怖を感じていた。
――必死になってもう一度歩き始めたところで、その結果、何も楽しめなかったら、俺はどうすればいいんだ?
彼の不安は、つまるところそこに集約された。
彼の世界には楽しいことは何一つ存在せず、だからこそ、必死になってまで生きようとする理由を、彼は持ち合わせていなかった。
それは自分のせいなのだろうか。
――俺のせいなのだろうか。
「俺のせいじゃないだろ」
部屋の中に、彼の声が静かに響いたが、その声を聞くものはいなかった。
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