55:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/30(火) 15:24:29.90 ID:qI3zpfXyo
会う場所はアキラの家に決まり、彼は一時過ぎに家を出て自転車を走らせた。
そう遠くはない距離だ。それでも、二十分弱はかかるのだが、中間地点に待ち合わせられるような場所がないので仕方ない。
自転車を漕いでいると、冬の空気の冷たさを久しぶりに感じた。そういえばこんなふうに出かけるのも久しぶりかもしれない。
どうしてこんなに簡単に外に出ることができるんだろう。彼はそのことを疑問に思ったが、深くは考えなかった。
ひょっとしたら、社会と自分との間の溝は、自分が思っているよりも大きくないのかも知れない。
かじかんだ手をあたためるため、彼は途中でコンビニにより、中華まんと缶コーヒーを買い求めた。
店内では、なぜだか流行のロックバンドの新曲が流れていた。くだらない、と彼は感じる。
やかましいだけのギター、節操のないベース、妙に跳ね回るドラム、何よりも粘着質なボーカルの声。
生理的嫌悪感とでもいうべきものが、彼の背中を撫で上げた。
趣味に合わない。彼は内心で毒づきながら店を出た。最近の音楽というのは、特に良く分からない。
引き篭もる以前からそうだった。人気の音楽というのが、なぜだかインスタントなものに思えてしまうのだ。
半年もすれば忘れられるような音の群れ。
中華まんをかじりながら自転車を漕ぐ。アキラの家についたのは、その少しあとだった。
自治スレッドでローカルルール変更の話し合い中
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