56:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/08/30(火) 15:24:56.05 ID:qI3zpfXyo
会うのは久しぶりだったが、彼の目から見てもアキラの様子は以前とほとんど変わらなかった。
愛嬌のある表情も、親しみの沸く雰囲気も、中学時代と同じだ。体格はがっしりとしていたがそれでも彼には以前と同じように感じられた。
アキラの部屋に案内されてから、彼らは二人で話をした。
話すことはたいしてなかった。彼からは何も話すことはないし、アキラの方も言いたいことはないだろう。
自然と、話は自動車学校のことや、ヤマトのことになった。
彼は誕生日が十二月で、時間が空いたので今頃から教習を受けに行こうと思っていたのだという。
早いものは夏休み頃から余裕を持って教習を受けていると聞いて、二週間ほどで仮免許取得に到達できる自分がいかに時間を持て余しているかを意識させられた。
それ以外でも、アキラの言葉の節々には、三年近い歳月をかけた成長や、社会に出ることに対する不安のようなものが窺えた。
そのことに気付くたびに、彼は少しだけ暗澹とした気持ちになった。自分は何も成長していないし、何も不安を抱くようなことがないからだ。
とはいえ、彼がずっと暗い気持ちでいたかといえばそうではない。
むしろアキラと話している間、彼は普段にないほど快活になっていた。
それというのも、もう何年も直接会って話していない友人と会って、それが特別仲の良い友人だったからといって、こんなにも会話が弾むものだろうかと考えたのだ。
彼は、自分が自然にアキラと話せたことが、たとえようもなく嬉しかったのだ。
三年近い引き篭もりの歳月の中、家族以外の人間とはほとんど言葉を交わさなかった。
それなのに、今アキラとの会話に、気まずさや居心地の悪さを感じることはない。
これはアキラの性格ゆえか、あるいは、自分が思っていたように、社会と自分との間の溝は思うより大きくなかったということなのか。
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