過去ログ - ミカサ「いやぁ、エレン……っ、殺してやる、殺してやるわ!」
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4: ◆tt4XjKq/KE[sage]
2011/08/29(月) 19:45:07.14 ID:5hHITQE30
(ハメられた……)

この眼鏡のにやけ顔からすべてが理解できた。
こいつは前の戦いで自分と対立した私をうざったく思ってたんだ。
それでリヴァイへの私の憎悪を利用して罠にはめた。
私バカだ。
私は腕っ節が強いだけのバカ女だ。
エレンへの愛で暴走するだけの、ぷっつん女なんだ。
すぐ周りが見えなくなる。
なんでこうなるまえにアルミンに一言でも相談しなかったんだろう。
アルミンだったらすぐにこの女の奸計を見抜いてくれたはずだ。
エレンだって、きっと悲しむ。
せっかく兵法会議で無事に済んだエレンも助からないかもしれない。
そして……死んでしまったら、二度とエレンの笑顔が見られない。

喉に冷たい金属の塊が押し当てられる。頸動脈を押し切るつもりだ。もうまもなく。


(エレン……っ!!)

「――待ちな」

制止の声に、すべてがはたと凍りつく。ミカサは涙に濡れたまなこをあげた。

「なぜ止める、兵長?」

リコが上目づかいでリヴァイを見据える。リヴァイはいつもの険しい顔で、ミカサを庇うように立ちはだかっている。
そしておくびにもださず、実は何とか事態を打開する策を考えていたのだ。


今の闘り合いでわかった。
このガキ、ハンパじゃない。
あと五年、いやあと三年すれば、地面に膝をついていたのは自分の方だったろう。
これだけの才能、ここで[ピーーー]には惜しい。
できれば、自分の手でこの娘を鍛えてみたい。
一緒に壁外調査に乗り出し、背中を預ける部下にしてみたい。
それにリコの奴、なにやら手回しが良すぎる。
煮ても焼いても食えないこいつのことだ、今回の件、何かたくらんでやがる。
だが、どうする?
大臣暗殺の現行犯を救う手立てなど、いくら自分にも……。
いや、一つだけあった。

――厭だ。

第一趣味じゃない。

ものすごく気が進まないが……やむを得ねえか。


「こういうことだ」

リヴァイは震えながら事態を見守るミカサの頤に手をかけた。その目がぱっと見開かれる。リヴァイはおもむろにミカサを突き放すと、事もなげに述べる。

「つまり、これは痴話喧嘩だ。大臣暗殺なんて大それた話じゃない」

「なっ……」

大臣たちがあきれた声を上げる。それから滔々、ミカサとの痴話話を脚本でもあったかのようにでっちあげるリヴァイの説明に、先ほどまでの空気がすぐしらけていった。

「ち、違う、こんな奴、私はぁ……っ!!」

ようやく放心から立ち直って泣き叫ぶミカサの頭を掴むと、リヴァイは地面に荒々しく叩きつける。

「大臣さんがた、失礼働いて申し訳ないが、このガキは俺からよ〜く躾けておく。勘弁してやってはくれまいか」

「へ、兵長、あなた一体どういうつもりで……」

わめき散らすリコは、リヴァイの鋭い目に射すくめられると、身動きを止めた。

「ガキには躾が必要だとよくわかった。そういうことで、今晩はこのガキを俺の部屋に連れて帰る。タップリ大人の世界の厳しさを教え込んでやるつもりだ」

リヴァイの鋭い眼光に誰も逆らえるものはいなかった。ミカサの脳裏にその言葉が響いて、彼女は泣きじゃくりだした。


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