953:1です。 ◆CIZA6sfEUc[saga]
2012/07/01(日) 23:06:02.32 ID:jWrTuuAfo
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―――――最初に亡くなった児童の家―――――
死後、不吉な噂を立てられた不名誉な仕打ちを受けた子供の住んでいた家は、普通の家だった。
自転車が飛び散った泥をかぶったまま横倒しになっている。
車はない。
(今頃、葬儀場かな……)
何度かインターホンを鳴らす。
応答はない。
「留守ですね」
となると、お義姉さんが侵入するには都合がいい。
ドアに手を掛けると、抵抗なく開きそうだった。
なんとなく嫌な感じがして、そのまま開けることはできなかった。
「鍵、開いてるみたいですけど」
「私が開けるわ。あなた達は下がって」
門まで下がって、志乃の前に立った。
僕の頭の中は、空中に円をイメージすることでいっぱいだ。
「志乃、口開けるなよ」
「なんで?」
「前、お義姉さんから言われたんだよ」
「なんかよくわからんけどわかった」
お義姉さんはドアの前に立つと、僕らを振り返った。
僕は黙ってうなずく。
志乃は手で口を塞いで、何度かうなずいた。
「開けるわよ――」
僕も左手で口を塞ぎ、右手を構えていた。
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