15: ◆3/LiqBy2CQ[sage]
2011/09/15(木) 20:10:51.89 ID:+wTNpPwyo
――そこから24時間以上は、また変わらぬ日常。
彼と過ごし、眠り、会社に行き、彼と過ごし。
二度の夜を迎え、二度の性行為と一度の自傷行為を越え、その後迷惑にも真夜中に、私は唯ちゃんに電話をかけた。
唯『――ムギちゃん!? どうしたの!?』
紬「……ううん、別に何もないんだけど…ごめんね、ちょっとだけ声が聞きたくなって…」
唯『……なぁんだ、びっくりした……何もないならそれでいいけど…』
紬「……ごめんね、迷惑だよね。でも…お願い、ちょっとだけでいいからお話させて…?」
唯『そういう電話なら…ふわぁ、もうちょっと早くにしてくれればいいのに……』
眠そうな唯ちゃんの声を聞いていると、本当に罪悪感が湧き出して止まらないけれど。
紬「ごめんね……本当に。迷惑だってわかってる。非常識だってわかってる。でも今日だけ、今だけ……ダメ?」
自分でもわかる、酷い我が侭だということは。唯ちゃんにとって迷惑極まりない行動だということは。嫌われても仕方ないほどの行動だということは。
でも、寂しさが抑えられない。きっとまだ手首を切っていないからだと思う。手首を切れば、痛みのおかげで色々なことを忘れられる。この世の醜さ、自分の汚さ、何一つ思い通りにはならない現状から来る寂しさも。
ならば、何故切る前に唯ちゃんに電話したのか。迷惑をかける方を選んだのか。私自身、それはわからないけれど。でも…
紬「……ごめん。どうしても……寂しくて……!」
私の口からは、それ以外の言葉は出て来そうにない。
唯『……うん、いいよ。今日頑張って働いてきたから明日は休みだし。いくらでも付き合うよ』
紬「……私も…明日休む。いいかな…?」
唯『じゃあ、今夜はいっぱいお話できるね。徹夜しちゃう?』
紬「…ふふっ、それも面白いかも」
唯『決まりだね。んしょ、っと……ほらほら、何でも話してごらん?』
紬「うん。それじゃあね、まずは――……」
――そうして、どれだけ話しただろうか。ちゃんと充電していた携帯電話が、電池切れの近い音を鳴らし始めた頃。不意に唯ちゃんが言った。
唯『ところで紬お嬢様。喉が渇きませんか?』
紬「ぷっ、ふふっ、誰の真似? まぁ、確かに喋りっぱなしだったけれど……」
唯『ムギちゃんの新しい家って二階建てだっけ?』
紬「え? うん、そうだけど……急にどうしたの?」
唯『玄関の方見てみてよ。ジュースが届いてるはずだから』
紬「へ?」
静かに寝室を出て、玄関を視認できる窓を開けて言われるまま顔を出して覗き込んでみると。
唯「……お届け物でーす」
紬「え、ええっ!?」
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