過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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774:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/02/20(月) 03:53:24.25 ID:gOl/dYXso

 ――こんなに走ったのは、小学生の時の運動会以来かもしれない。

 息を切らして走りながら、まどかはふとそんなことを思った。
 そんな思考とは裏腹に足は止まらず、肩は上下するのを止めず、あごに力が入るのも止められない。
 脇腹が何かに踏みつけられるようにキツく悲鳴をあげていて、肋骨は震えるように唸っている。

 辛い。痛い。苦しい。
 自分の背負い込んだ物や事情など全て投げ出して、その辺りに寝転んでしまいたい。
 だけど体はまだ動く。まだ走ることが出来る。だから止まらないし、止められない。

 まどかは走るのが得意じゃない。
 というより、体を動かすこと全般が得意ではないし、好きでもなかった。
 どれだけ頑張っても成果は現れないし、努力は報われないからと、そう決め付けていたからだ。

 だけど今は違う。
 得意じゃないし好きでもないことに変わりはないが、
 それでも今は走れることに感謝している。走ることの出来る自分の体に感謝している。

 辛いし、痛いし、苦しいが、走っていれば無駄なことを考える余裕が無くなる。
 朦朧とした意識の中で聞いた、ほむらに降りかかった不幸を気に病むこともなければ、
 今上空で何が起こっているのかを気にする必要もなくなるからだ。

 ただ前へ突き進む。
 泥にまみれ、身体のあちこちを擦り剥いて血を流しながら走る。
 とても苦しいが、きっと彼女は、ほむらは自分以上に苦しい思いをしてきたに違いない。
 そんな彼女に何か出来るとしたら、走ることくらいしかない。

 ――だから私は、走る。

 今の彼女には、それしか出来ない。

 戦いの余波で荒れた街の中を必死に走り、道を塞ぐ瓦礫を乗り越えて――



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