過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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826:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/01(木) 02:07:34.56 ID:nPimD933o

 何が、と疑問を口に出そうとして。
 さやかはすぐに口を噤んだ。
 噤まざるを得なかった。

 聞こえる。

 聞こえている。

 この灰色の世界を包み込むように荒れ狂う音が。
 ただ苦しみを吐き出す音が。
 悲嘆を振り絞る音が。
 恐怖に染まる音が。


「炎よ――巨人に苦痛の贈り物をッ!!」


 世界を取り巻く怨嗟の嵐を切り捨てるように、ステイルの声が響き渡る。
 同時に彼の右掌から炎の塊が溢れ、少女に向かってぐんぐんと突き進み――

 気がつけば、彼女に迫る炎は消えていた。
 そしてステイルは地面に膝を屈していた。
 彼の背から翼のような血飛沫が舞った。

「ぐうううぅぅぅぅッ――!!」

 膝を地面に着けたステイルがその体を襲ったであろう苦痛に呻き声を上げる。
 その呻き声はすぐに世界を囲い込む憎悪の暴風に吸い込まれていった。
 同時に先ほどから耳が拾っている音がだんだんとはっきりしてくる。
 ノイズのようだった音がクリアになり、形を持ち――気付く。



「こっ……こ、え……声、なの……?」



 視界の隅で、杏子が静かに頷いた。
 それが意味するところは肯定のそれであり――つまり世界を覆う音が、何者かの声であることを示していた。



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