過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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827:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/01(木) 02:08:17.62 ID:nPimD933o

「アタシが目を覚ました時には、もうステイルはああして戦ってたんだ。いや、戦うってのはおかしいね」

 杏子は眉間に皺を刻んだまま耳の上辺りを激しく掻いた。

「そもそもこれは戦いにすらなっちゃいない。アイツ……魔女にしてみりゃ、近寄るハエを手で払ってるのと同じなんだ」

「なによそれ?」

「アンタも見たろ。魔女狩りの王と炎剣が消えて、ステイルが全身から血を流したのをさ」

「だからそれがなんなのか分かんないのよ!」

 声を荒げたさやかは、すぐにある事実に気がついた。
 自分の声が世界を抱擁する憤怒の波に吸い込まれていったのを、確かに彼女は感じた。
 先ほどから流れっぱなしになっている騒音にも似たこの声はなんなんだ。
 なぜ杏子は、何もかも諦めたような目をしているんだ。

 憤りを隠せないさやかに対し、杏子はただ諦観した視線をさやかに送って唇を動かした。


「あの魔女に攻撃は通じない。どんな衝撃も、幻惑の魔法も、熱も槍も――あの魔女には届かない」


 それどころか、と続けて、首を振った杏子は不愉快そうに口の端を上げた。
 彼女の視線の先には、ふたたび立ち上がって炎の剣を携えるステイルの姿がある。
 その表情はここからでは窺い知ることができない。

 もっとも近づけば話は変わる。ほんの一〇歩も歩けば彼の顔も見えてくるだろう。
 しかしさやかはそれを実行する気になれなかった。
 彼の全身から湧き上がる陽炎に混じって宙を漂う気配が、彼女を踏みとどまらせた。

 あの研ぎ澄まされた針のような気配。
 聴覚を苛む恨みと憎しみの声にも劣らない力。
 今、ステイルが抱いているであろう感情は間違いなく――怒りだった。

「あのバカ、そろそろ死んじまうぞ」

「は?」



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