過去ログ - ほむら「あなたは……」 ステイル「イギリス清教の魔術師、ステイル=マグヌスさ」
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870:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(神奈川県)[saga]
2012/03/18(日) 01:56:25.90 ID:HhynQx1uo

「もう忘れたのかい。美樹さやかが魔女になったとき、君は何も出来なかったじゃないか」

 あの時のことは片時たりとも忘れた事などない。
 あの時、あの場所で、無力な自分は何も出来ずにただただ見ているだけだった。
 親友が苦しみ、また必死にさやかを救おうと努力する光景をその目に焼き付ける事しか出来なかった。

 まどかにとって、その光景は無力の象徴として心に深く深く刻み込まれている。
 何も出来ない愚かでちっぽけな自分への戒めとして忘れる事のないようにしっかりと。

 ゆえに、普通に考えればありえないのかもしれない。
 親友を救うために必死に声をかけて説得しようなどという試みは、するだけ無駄なのかもしれない。

 胸の中にじわじわと広がる痛みと、口の中にもたらされるわずかな苦味に眉をひそめる。

「あの時は駄目でも、今度は違うかもしれない」

「何も違わないし、何も変わらないよ」

 ――何も違わない。

 果たしてそれは事実だろうか。
 あの時から自分は、何一つ変わっていないのだろうか。

 ――違う、とまどかは首を横に振った。

 確かにこの体はあの時と同じまま、ちっぽけな人間のそれでしかない。
 魔女や魔術師がちょっと力を振るえばぽきりと折れてしまうような脆弱な物かもしれない。
 だが、それだけだ。

「……ステイルくんたちはさやかちゃんのことを助けてくれた」

 だから今度は、自分が彼らと同じ舞台に立つ。
 そして自分の手で親友を助ける。


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