2: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:02:15.80 ID:axtTgyEU0
暗い。
目を閉じていると、面倒なあれこれを忘れていって心地がいい。
いつしか目を閉じているのか、
3: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:16:08.61 ID:axtTgyEU0
足を乗せた土の辺りから、緑の芝が拡がっていく。
白い花が小さな蕾を開き、
樹木がサッと枝を伸ばして影を落とした。
4: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:28:59.14 ID:axtTgyEU0
ガラス窓の向こうからこちらを見ている女の子が居た。
城の中心に建つ塔の一番てっぺん。
窓にはまった格子の間から、悲しそうな顔が見える。
5: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:36:02.15 ID:axtTgyEU0
誰か居る。
敵だ!
僕に気付いた鎧の兵士たちが斧や剣を持って襲いかかってくる。
ガシャガシャとうるさい。
6: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:40:25.60 ID:axtTgyEU0
あの娘が居る塔の階段を探し、
一歩一歩に勢いをつけてかけ上がる。
ひたすら上へ登っていった。
7: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:43:44.85 ID:axtTgyEU0
見つけた!
きっとこの部屋だ。
下からガシャガシャと階段を登ってくる音がする。
この扉を開けたらすぐ、あの娘に逃げるように伝えよう。
8: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:47:00.28 ID:axtTgyEU0
暖炉の上に乗った白いケトルの口から湯気が立っている。
ちょうどお湯を沸かしていたらしい。
格子窓から差し込む光のカーテンに
立ち上る湯気が白く重なる。
9: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:52:22.12 ID:axtTgyEU0
もしかしたらこの娘は、この城に
閉じ込められいる訳ではないんだろうか?
彼女の身なりをよく見る。
金色の巻き髪が肩の辺りまでさらさらと伸びていて、
10: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:54:06.55 ID:axtTgyEU0
いろいろ質問をしたいけど、
こんな人を前にすると呼び名に困る。
「あの…姫様は…」
11: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 02:59:26.07 ID:axtTgyEU0
彼女は食器棚からカップを2つ取り出すと、
小さなキッチンに並べて置いた。
「ここまで来るのは疲れたでしょう。
紅茶にする? コーヒーにする?」
12: ◆.IsLampwR.[sage]
2011/09/28(水) 03:29:38.58 ID:axtTgyEU0
「なんだか、安心したよ。
君が閉じ込められてるんじゃないかって思ってたから。」
そう言って、真ん中の皿からクッキーを一つつまんだ。
意外と甘味が濃くて、ストレートの紅茶によく合う。
39Res/19.41 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。