過去ログ - 士郎「人の為に頑張ったヤツが絶望しなきゃいけないなんて間違ってる」ほむら「……」
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923:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(長屋)[saga sage]
2012/08/05(日) 09:27:16.57 ID:NLZutGxV0
「わたし……私は、わた、しは……」

マミは苦しむ。
何もかもを放り出せば、生き残る事が出来る。
全てを賭けて戦えば、救えなかった者たちには報いる事が出来る。
二つの相反する想いの釣り合いは、一本のロープの上に成り立っている。
それは天秤とは異なり極めて不安定なもので、恐らく―――。

「やれやれ。こんな所まで行ってたのかい、マミ」

そう、恐らく―――ほんの少し感情が揺さぶられた瞬間、その魂の器が砕け散りかねない程のものだ。

「キュゥべえ……どうして、ここに……?」

「君の様子が気になってね、ちょっと見に来たんだ」

「そう…………」

インキュベーター―――キュゥべえ。
考えがまるで読めずとも、命の恩人であるソレをマミは信頼していた。
しかしそれも過去の話だ。
今となっては魔女、ひいては魔法少女の正体が明かされている。
未だ恨めずにはいるものの、流石のマミにも気を許せる存在ではなくなっていた。

「それに、君に知らせておきたい事があるんだ」

「…………いいわ。聞かせて」

警戒は解けない。
だが、マミにとても用事があった。
恐怖に敗れ、逃亡を決めながらもただ一人の心残りが居た。
そして今のマミの前にインキュベーターが現れた以上、その人物についての話となるのは必然であった。

「佐倉さんの事、よね……?
 やっぱり私の事、恨んでた?」

「そうでもなかったね」

「! そ、そう……なん、だ……」

人によっては犯してしまった罪を恨んでもらえる方が楽になれる場合がある。
その罪を他者に責められなかった時、誰もが多かれ少なかれ自らを罰するものだ。
その大抵は我が身かわいさで甘いものとなりがちだが、中には他の誰よりも己の罪を厳しく糾弾するような
人間も存在する。
そして、マミもそういった人種の一人だった。
故に彼女は良心の呵責に苛まれる。

「ただね、その代わり―――」

だが、そんな事は。

「佐倉杏子は」

非情な現実の前では些事に過ぎなかった。

「―――魔女になったよ」

「え―――?」


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