過去ログ - まどか「無限の中のひとつの奇跡」
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50: ◆oQV5.lSW.w[sage saga]
2011/10/07(金) 02:31:20.07 ID:t06ma3WT0
……なんだって?

「――お前、さっきアタシが魔獣――白い変態共と戦ってたのを見てたのか?」

「うん、ずっと見てたよ。お姉ちゃん、強くてカッコよかったねー」

……この年で、資質持ちだと――?

「じゃあ、ゆまは、今向こうで白黒のお姉ちゃんと話をしている、変な動物も見えるのか?」

――まずい。
相手がまだ幼い子だろうと、思考や判断力が未熟だろうと、アイツはそんなこと考慮はしない。
資質を見い出せば型通りに説明し、契約の意思があれば受理する。ただ、それだけだ。

「うん、見えるよ。あれなんていう動物?ネコじゃなかったし」

そして、その結果何が起ころうとも、責任なんて一切取りゃしない。
命を落としたとしても、宇宙のエネルギーが無駄になったとか何だとか、嘯くだけだし

「――アレはロリコン妖怪だ。魂を喰う悪魔だから、絶対近付くんじゃねーぞ」

迂闊な祈りがどんな災厄を呼び込もうとも、『摂理』の一言で片付ける。
――それが、アイツだ。


「それじゃ、四角いのも全部集め終わったし、家はどこだい?送ってやるよ」

とにかくキュゥべえが向こうに集中している間に、この場を離れねーとな。
後はゆまが資質持ちだと、気付かれてないことを祈るだけだ。

「おうち……?」

「ああ、おうちだ。近いのか?」

「……ゆま、おうちには、帰りたくない――」

「おい、ゆま?」

ゆまがぽろぽろと泣き出す。あぁもう、今日は厄日に違いない。
グズグズしてる余裕は、無いってのに。

「分かったから、じゃ、そこの公園でも行こう。
 お菓子やるから、な、ほら、泣き止んでくれよ」

軽くゆまの頭を撫で――ん!?

「……いたい」

前髪を持ち上げて、額の生え際を見る。

「……」

袖を少し、捲ってみる。やはりここにも、在った。

――家族から愛されていないことを、示す刻印が――


ああそうか、そうだよな。
こんな時間に、こんな小さな子が一人で出歩いている。
そのこと自体がまず、おかしかったんだ。


今日は本当に厄日だ。
わざわざこんな風見野の外れ、縄張りの端っこまで出向いて
出会わなければそれで済んだ相手と出会い、知らなければそれで済んだことを知ってしまった。
しかも、アタシは、何もしてやることが出来ない。
――側に居るだけで、もっと酷い運命に巻き込みかねないから。


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