128:1
2011/12/24(土) 23:29:38.38 ID:MsIdTHw00
「少し、わたくしの能力についてご説明いたしますの」
それを確認して、黒子はゆっくりと話し始める。
「お察しの通り、わたくしの能力は空間移動。一瞬で離れた場所へ移動する事が可能ですのよ。それはわたくし自身だけでなく、わたくしが触れていた物も同様に」
反応を窺う様な黒子の話し方に、それでもトレインの表情は変わらない。
「そして、移動した物は元々そこにあった物を押し退けて転移する」
ゆっくりとした動作で、黒子は右腕を上げ、トレインの左肩を指差した。
「丁度、その様に」
黒子の言葉を最後に、二人の間に沈黙が流れる。
トレインは黙ったまま左肩に右手をやり、刺さったままの鉄矢を引き抜き無造作に投げ捨てた。
渇いた音が響き、赤い線を引きながら鉄矢が地面を転がる。
「大怪我をする前に諦めては如何でしょう。わたくしとしても、この様な使い方は本意ではありませんし」
黒子にとっても、これは賭けだった。
状況にもよるが、相手の体内へ直接異物を転移させる事は、彼女にとって最終手段に近い。
それをあっさりと披露して見せ、更に解説まで加えたのは、一重にトレインを諦めさせるため。
圧倒的な力を見せつけ、その後で逃げ道を用意する。
そうすると人は簡単にそちらへ流れてしまう。
その為に、黒子は奥の手を見せつけたのだ。
167Res/100.35 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。