44:1[sage]
2011/10/22(土) 05:42:52.95 ID:R0SN1dWm0
「へぇ、こいつが本場の『ユカタ』って奴か」
心無しか、先程までと比べて若干声のトーンが落ちたトレインがその一角へと近付く
落ち着いた紺色に派手さを抑えた模様の男性用と、打って変わってピンクを基調に、黄色の花柄が散りばめられた華やかな色合いの女性用が、どうやら今年の流行らしかった。
ディスプレイされたそれらをトレインは何処となく懐かしげな視線でしげしげと眺める。
「トレインさん、浴衣似合いそうですよね。髪の毛も黒っぽいですし」
「ん? あーいや、自分で着るつもりは無ぇんだわ」
男性用浴衣とトレインの姿を交互に見ていた初春の言葉を、トレインは笑顔で否定した。
「じゃあ何で見に来たのよ」
不審げな表情の美琴の追及に、トレインは少し遠い目をして女性用の浴衣へ視線を移す。
「昔、知り合いが良く着ててな。ちょいと懐かしくなったんだよ」
「知り合いって? もしかして恋人とか?」
「そういうんじゃねぇって。親友だよ、親友」
トレインの表情と女性用浴衣へ向いた視線をどう取ったのか、涙子がやたらと興奮した様子で食い付く。
が、トレインは何の後ろめたさも感じさせず、きっぱりとそれを否定し、さばさばしたその様子に涙子は少しつまらなそうな顔で身を引いた。
その時、ややチープな音質の、電子音丸出しのポップミュージックが鳴り響いた。
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