過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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19:ny[saga]
2011/10/19(水) 21:14:03.05 ID:oNEfTHUU0
○
結局、何の解決策も出なかった。
作戦会議を数時間続けるが、何しろ今までの敵とは違い、
多重人格という途方もない上に前例がない強敵ゆえ、答えが出ようはずもない。
幸いポルナレフが発現する事はなかったものの、大神達は時間を消費しただけだった。
仕方なく、三人ずつアイリスの傍にいる事にして、解散する事になった。
ちなみに最初の監視は、さくら、カンナ、織姫だ。
大神が一人部屋で寝転んで解決策を考えていると、突然扉が叩かれた。来客だ。
扉の先で待っていたのはマリアだった。
深刻そうな表情をしていたため、思わず部屋に上げてしまった。
部屋に上がると、マリアは唐突に重苦しく言った。
「事態は思った以上に深刻なんです」
「………………」
「隊長。何故私がここまで解離性同一性障害に詳しいか、お分かりになりますか?」
「いや……」
「私がクワッサリーと呼ばれた頃です。
完全にというわけではありませんが、私にはそこそこ親しい知人がいました。
その知人こそが解離性同一性障害だったんです。
彼女はよく自分の事を話してくれました。
幼少の頃、両親に受けた虐待の事、自分を憎んでいる人格の事、解離性同一性障害の事などを……。
それで、詳しくなれたのです」
「今、彼女は………?」
大神が訊ねると、眼を伏せてマリアが辛そうに呟いた。
「……死にました。他人格の負荷が重過ぎたんです。
自殺願望がある他人格が彼女の首を斬って、彼女ごと死にました」
「厭な……、話だな……」
「ええ……」
「アイリスもそうなる……と?」
マリアは首を振った。
否定ではあったが、肯定でもあるようだった。
「もっと酷いです。隊長。
アイリスは霊力を有しているのですよ」
ああそうか、と大神は頭を抱えた。
そうなのだ。アイリスは霊力を持つのだ。それも最高位の。
それはどれだけ危険な事か。
アイリス自身ですら分からないほど危険なのだ。
それをポルナレフに悪用されてしまったとしたら……。
「更に……、です」
マリアは駄目押しした。
「ポルナレフには恐らく制限がない。
純真なアイリスと対となる人格です。
恐らく、次に彼が発現したとしたなら、制限なく霊力を使い行き着く果ては……」
「帝都の完全消滅……だとでも?」
「或いは、先にアイリスの霊力が完全に尽き果てるか……」
霊力の完全消滅。つまり、アイリスの死だ。絶望的だった。
だが、何かをしないわけにもいかないのだった。
「一つ、提案があります」
「提案?」
「私の霊力を使い、アイリスの時を止めます。つまり、冷凍睡眠です」
「出来るのかい? そんな事が」
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