過去ログ - アイリス「さよなら、ジャンポール」
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38:ny[saga]
2011/10/21(金) 19:25:18.49 ID:sT9PuPCN0
『『アイリス』はこっちに移動させた。君に勝ち目はないっ!』
『ジャンポール』の思念が響く。
苦々しそうに、『ポルナレフ』は舌打ちした。
「ジャンポールっ! 居るのかっ? そっちに『アイリス』がっ?」
祈るように叫んだ。そうであって欲しいと叫んだ。
そして、聞こえた。
最も愛しい者の声。聞きたくて堪らなかった、自分の恋人の声が。
『うん。ここだよ、お兄ちゃん』
『アイリス』の声だ。間違いなく、『アイリス』の声だ。
もう聞けないかもしれないと覚悟さえしていた『アイリス』の声だ。
「無事かいっ? アイリスっ!」
『うん、だいじょうぶだよ。
ジャンポールが……、ジャンポールがアイリスをたすけてくれたんだよ。
夢みたいに……!』
「よかった……。本当によかった……!」
花組全体でも、歓喜の声が上がった。
取り分け、レニが嬉しそうにしていた。
だが、人間と思えぬほど、激しい表情をした『ポルナレフ』が絶叫した。
「があああああああああっ!」
空気が揺れる。
帝都が揺れる。
次元すら揺らすような咆哮だった。
「てめえらあああああっ!
俺を怒らせてそんなに嬉しいかあああああっ!
殺してやる! 殺してやるぜえっ、てめえらああああっ!
あの『臆病者』共の別人格みたくよおおおおっ!
脳髄までぶちまけさせてやるぜえええええっ!」
激しい言葉だった。
大神が悪寒を感じるほどの猛々しい言葉だった。
だが、『アイリス』は、ジャンポールの中に居る『アイリス』の意識は、揺らぎもしなかった。
『そんなことさせないよっ!
それに『ポルナレフ』だって、本当はそんなことしたくないんだって、アイリスは分かってるんだもん!』
「何……だと……!」
『『ジャンポール』にたすけられるまで、アイリスは『ポルナレフ』だったんだもん!
『ポルナレフ』のなかにアイリスがいたんだもんっ!
だから、分かるんだよっ! 『ポルナレフ』のかんがえてることがっ!』
『そうだよ』
『アイリス』の言葉を、『ジャンポール』が継いだ。
『僕はずっと君を抑えていたから分かる。
君の中にあるのは新しい世界への渇望。
そう、狂おしいほどの愛情への渇きだ。だから、そこまで主人格に執着し、こだわっている』
「てめえらに何が分かる!」
『分かるよっ!』
『アイリス』の叫びに、『ポルナレフ』がほんの少し怯えた。
あれだけ強気に振る舞ってきた『ポルナレフ』が、怯えたのだ。
圧倒的に精神レベルが劣っているはずの『アイリス』の叫びに。
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