過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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30:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:03:54.08 ID:aYv84ioOo
4.

次の日の昼、「今晩は猫を見る必要はありません」という姫からの言伝てが届いた。

私は戸惑いを覚えた。
第三者である使者に言伝てをする以上、私たちの関係を悟らせないような文言になっているのは
至極当たり前のことだった。

重要なのは、これら文字の羅列が、姫の意図を何も語っていないことだ。

私は真っ先に推測した。昨日の夜の一言は、姫様の気の迷いだったのではないか。

通常起こり得ないことが起きて、非現実に放りこまれた時、人は本能的に、
可能な限り元あった平凡な日常を取り戻そうとする。
何故なら、経験則として、そこに紛れもない平穏があると知っているからだ。

だとすれば、昨晩、自分をあり得ない世界に堕とした元凶である私と逢いたいと
姫様が思わないのは、他に道を取りようがない必然の結果だと言える。

そう思案する一方で、私はかすかな希望を棄てられずにもいた。
「今晩は」
この言回しなら、「今日は何かしらの理由があって無理である。明日以降に再び呼び立てる」。
そう解釈しても妥当性を欠かない。

その日公務で特に多忙だった姫に会って問い質すことが不可能だったため、
私は時間をたっぷりかけて、連なった記号が示すであろう解釈を一通り検証した。

しかし、それが終わった後、私は何故か自分の心に穴が空いたような虚無感に囚われた。

不意に、私の口から、ぽつりと言葉が漏れた。

「今晩は猫を見る必要はありません」


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