過去ログ - 女騎士「姫の自慰を目撃してしまった」
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36:『Her Knight in Their Nights』 ◆k6VgDYkyGI[saga]
2011/10/21(金) 21:17:12.11 ID:aYv84ioOo
私はなお頭をゆっくりと撫でながら言った。
「姫様、お忘れですか?
 如何なる不条理をなされたとしても、私が姫様への忠誠心を失うことはあり得ません」

姫は少し身体を離して私を見上げた。
「偽りなく?」

「今、そのことを、自らの行動を以て示しているつもりです」
私は姫の目尻に溜まった涙を指でぬぐった。

悲しみに陰っていた姫の表情が次第に晴れてゆく様は、私の心を一層くすぐった。
私は改めて、自分の中に新たな行動原理が生まれ育ってゆくのを感じた。

「ありがとうございます、女騎士。貴女が貴女であってくれて、本当によかった」

あるいは、あの時初めて、私は人間らしさという性質を得たのかもしれない。
姫という方程式に条件を代入して行動の解を自動的に導き出す合理的な機械から、
感情という不条理かつ言語化不可能な動機でたなびく人間という何かに近づいたことは、
その後の私の有り様を大きく変えたと結論づけて良いだろう。

しかし、いずれにせよ、間違いなくその夜こそ私と姫の関係を真に始まらせたのであり、
同時に、この悲劇の序章を終わらせもしたのだ。

「姫様、そろそろお部屋にお戻りになった方が宜しいかと。夜半にこのような遠い場所まで姫様が
 いらしていると知られれば、他の近衛が五月蠅く申すでしょう。お部屋までお付き添い致します」

「そうですね……。分かりました」

「時に、姫様」

「何でしょう?」

「今晩、猫は鳴くでしょうか」


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