37:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします
2011/10/22(土) 01:07:28.40 ID:9yuxyDT00
3階から2階へと駆け降りる…
後ろから近づいてくる足音が大きくなってきた。
そのまま振り返ることはせずに、1階へと駆け降りる…
足音はとうとうすぐそこまで来ていた。
リリーの折れた左足の骨が、腐敗した肉をえぐる音が聞こえて来る。
クチャ…クチャッ…
澪の焦り、そして恐怖心も膨れ上がる。
グチャッ…!
澪(ひっ…!)
その時、今まで軽快に駆けていた澪の脚がもつれ、安定を失った体が前につんのめった。
先ほどまで動かず、痙攣していた足である。無理もないことだった。
前に倒れ込んでいく澪の体。
木製の階段の角が迫ってくるような感覚。
恐怖からギュッと目をつぶるが、しかし彼女の体に痛みが走ることは無かった。
手のひらには、金属の冷たい感触。
おそらく手すりにあるブロンズ像に手が突っかかったのであろう。
ともあれ、転倒を免れた澪であったが、状況は最悪であった。
リリーである。
振り返らずともわかる。
鼻をつく腐臭と、地獄の底から這い上がって来たかのような、低い呼吸音。
そして何よりも、多足類が全身を這いずり回っているような、ゾッとする冷たい気配が、リリーが背後にいることを物語っていた。
ヤツに追いつかれてしまった。
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