158:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:15:41.67 ID:veqilnkN0
*
「ナンバーX?」
きょとんとした顔で汀がそう言う。
圭介は汀の点滴を替えながら、それに答えた。
「ああ。そう呼ばれているらしい」
「テロしてるの?」
「そうらしい」
頷いて、彼は汀の前の椅子に座った。
「今日の診察は全て中止した。これから赤十字病院に向かうぞ」
「大河内せんせに会えるかな?」
「依頼主が大河内なんだ。嫌がおうにも会うことになるさ」
「ほんと? やだ、私こんな格好で……」
「気にするな。大河内も気にしないよ」
「せんせが気にしなくても、私が気にするの」
そう言いながら、壁の鏡を見て、櫛で髪を梳かし始めた汀に、圭介は息をついて、手元の資料を見てから言った。
「今回のダイブは、極めて危険なことになるかもしれない。小白を絶対に連れて行け」
「うん。小白も行くよね?」
汀に問いかけられ、隣で丸くなっていた猫は、分かっているのかいないのか、顔を上げてニャーと鳴いた。
「その、ナンバーXっていうマインドスイーパーが、勝手に回線に進入してきて、他の人のマインドスイープを邪魔してるんだ」
「話によるとな。どの程度の能力者なのか分からないから、危ないと思ったらすぐに帰還しろ。今回は、それが可能なフィールドを用意した」
「どういうこと?」
「これが、今回の患者だ」
圭介が汀の前に資料を投げる。
汀はその写真を見て、意外そうに呟いた。
178Res/185.76 KB
↑[8] 前[4] 次[6]
板[3] 1-[1] l20
このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています。
もう書き込みできません。