160:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:17:18.52 ID:veqilnkN0
*
赤十字病院の会議室で、汀は大声を上げた。
「せんせ!」
会議室に集まっていた多くの医師や、マインドスイーパーだと思われる、病院服の少年少女達が、一斉に汀を見る。
気にせず車椅子を進めた圭介を一瞥して、入り口で待ち構えていた大河内が、満面の笑顔で汀を抱き上げた。
そしてその場をくるりと一回転する。
「ははは、久しぶりだなぁ、汀ちゃん」
「せんせに会いたかったよぉ。せんせ、元気だった?」
大河内に抱きつき、猫のように頭を押し付ける汀。
その頭を撫でながら、大河内は、彼女を抱き上げつつ、会議室の上座に移動した。
「元気だったさ。汀ちゃん、少し痩せたんじゃないか?」
「せんせに会えるから、しぼったんだよ」
「駄目だぞ、無理しちゃ。よぉし、今晩は、うまくいったら私のおごりで……」
「大河内、場所を考えろ」
圭介が大河内に耳打ちする。
大河内はそこでハッとして、慌てて汀を椅子に座らせ、そして自分はその隣に腰を下ろした。
「せんせ?」
不思議そうに汀が聞く。
大河内は彼女に笑いかけ
「ごめんな、汀ちゃん。あまり時間がないんだ。治療が終わったら、いろいろ話そうな」
と言った。
頭をなでられ、汀は頬を紅潮させて頷いた。
「うん、うん!」
圭介が大河内の隣に腰を下ろす。
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