169:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:27:22.20 ID:veqilnkN0
しかし、マインドスイーパー達は、とっさの事態に対応できないのか、迫ってくる黒蛇に背を向けて逃げるのが精一杯だった。
近くにいた女の子の胴体が、半ばから噛み千切られる。
噴水のように辺りに血が飛び散る。
鞭のように、蛇が体を振る。
数人のマインドスイーパーが、数十メートルも吹き飛ばされ、頭から落下して動かなくなる。
また、一人飲み込まれた。
「ああ……あ……」
理緒が精神中核を抱いたまま、震えている。
小白が足元に降り立ち、シャーッ! と鳴いて風船のように膨らんだ。
そして体高五メートルほどの、巨大な化け猫になって蛇を威嚇する。
「逃げて! 早く!」
どこまでも続く白い砂浜に、逃げ場や隠れるところなどどこにもなかった。
たちまち、汀と理緒、そしてもう一人の男の子を残したマインドスイーパー達が蛇に、動かぬ肉片に変えられていく。
蛇は体の中のぐちゃぐちゃになった肉塊を吐き出すと、一人腰を抜かしてしゃがんでいた男の子の口めがけて、凄まじい勢いで突進してきた。
そして、明らかに大きなサイズであるというのに、全て男の子の体の中に吸い込まれて消える。
「ガッ!」
そこで、蛇を飲み込んだ男の子が奇妙な声を発した。
その目がぐるりと裏返り、血の涙が溢れ出す。
「み……汀さん! 汀さん!」
痙攣しながら立ち上がった男の子を見て、理緒が汀にしがみつく。
小白がうなり声を上げている。
汀は反応しないヘッドセットを地面に叩きつけると、理緒を庇うように立った。
「……あなたが……ナンバーX……!」
「はは! はははは! ははははははは!」
男の子が、血痰を吐き散らしながら叫ぶように笑った。
そしてその目がぐるりと元にもどり、彼は首をコキコキと鳴らした。
「トロイの木馬作戦。上手くいったかな」
男の子の体中のいたるところから、血が流れ出す。
それでも足を踏み出し、彼は口を裂けそうなほど開いて笑った。
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