173:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/29(土) 01:30:24.59 ID:veqilnkN0
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「あーあ、負けちゃった」
雑然とした部屋の中、マスク型ヘッドセットをむしりとり、少年……ナンバーXは悔しそうに口を開いた。
「なぎさちゃんが相手じゃなぁ。ま、今回は不意打ちだったし、他人の体だったし、仕方ないか」
「何一人で割り切ってるんだい」
タバコを口にくわえた、白衣を着た女医と思われる女性が、彼の頭をカルテで叩く。
「痛っ。何すんだよ」
「お前、また赤十字のサーバーに侵入してただろ。やめろっつぅのが分かんないのか」
男口調で喋って、女医は顔をしかめた。
「いい加減にしないと、本当にブチのめすよ」
「ごめんごめん。今回が最後だって」
「それ、前回も聞いた」
ナンバーXはベッドの上から起き上がると、女医に向かって手を広げた。
「それより聞いてよ。なぎさちゃんが生きてたんだ」
「なぎさ?」
「あぁ、ナンバーWのこと」
「何?」
女医が聞き返して、そして考え込む。
「まさか、そんな……でも、考えられない話じゃ……」
「元気そうだったよ。髪の毛は真っ白になってたけどね。はは、僕とおそろいだ!」
そう言って、彼はくるくるとその場を回った。
「綺麗になったなぁ、なぎさちゃん。あの頃と変わらないと思ってたけど、神様は面白いいたずらをするね!」
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