64:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:28:37.91 ID:CGXDMCHp0
『汀、何があった!』
「大丈夫! 何でもない!」
悲鳴のように答えると、彼女は近くの薔薇の茂みに飛び込んだ。
僅かに血の豪雨が防げる場所に、体中を切り刻みながら入り込み、小さくなって震える。
とても寒かった。
「何でもない……大丈夫。私やれるよ……」
か細く、ヘッドセットにそう言う。
圭介は一瞬沈黙してから、言った。
『頑張れ。俺はお前を、応援してる』
「分かった……」
頷いて、汀は近くの薔薇を手にとって、小さな手が傷つくのも構わず、それを毟り取った。
そして大きな棘を、自分の左腕、その手首につける。
グッ、と力を込めると、棘は簡単に柔肌にめり込み、たちまち汀の腕から、ものすごい勢いで血が溢れ出した。
痛みに顔をしかめながら、彼女はビニールハウスの地面……血が溜まってきたそこに、自分の血を垂らした。
ジュゥッという焼ける音がして、汀の血が当った場所が蒸発した。
左腕を掴み、血を絞り出す。
「そんなに血が好きなら……好きなだけ飲ませてあげるわよ。好きなだけね!」
もう一度汀は、自分の腕を棘で切り刻んだ。
ボタボタと血が垂れる。
汀の足元、蒸発した空間から、白い光が漏れ出した。
それが円形の空間に変わり、真っ白い光を放ち始める。
汀は、棘を掻き分けてそこに飛び込んだ。
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