63:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 01:27:46.46 ID:CGXDMCHp0
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気づいた時、彼女は一面の花畑の中に横たわっていた。
「……ゲホッ、ゲホッ!」
激しくえづいて、飲み込んでしまった臭い血液を吐き出す。
体中血まみれだ。
『汀、大丈夫か? 返事をしてくれ』
圭介の声に返そうとして、汀は自分を囲んでいるつたに手を伸ばし
「痛っ!」
と言って手を引っ込めた。
彼女がいたのは、真っ赤な薔薇が咲き誇る、一面の薔薇畑だった。
無数の棘がついたつたに囲まれ、彼女は起き上がろうとして、ビリビリと病院服のすそが破れたのを見て、舌打ちをした。
「……攻撃性が強すぎる」
『それが痴呆症の特徴だ。理性の部分のタガが外れてるからな』
「寒い……」
肩を抱いた汀の頭上、そこからプシュッ、と言う音がした。
良く見るとそこは広いビニールハウスで、天井にはスプリンクラーがついている。
そこから、勢い良く血液が噴出した。
たちまち豪雨となり、痛いくらいに汀の体を、生臭くて生ぬるいモノが打ち付ける。
たまらず、汀は足を踏み出して、薔薇の棘で全身を切り刻まれるのも構わず、走り出した。
スプリンクラーが強すぎて、息も出来ない。
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