99:三毛猫 ◆E9ISW1p5PY[saga]
2011/10/22(土) 22:11:14.84 ID:CGXDMCHp0
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「汀、起きろ。大丈夫か、おい、汀!」
切羽詰ったような圭介の声が聞こえる。
汀は真っ青な顔で、ものすごい量の汗を流しながら、目を開けた。
「け……圭介……?」
「すぐにこれを飲め。早く!」
圭介が、いつになく慌てて、汀の耳のイヤホンを引き剥がし、彼女の口に錠剤をねじ込む。
ペットボトルのジュースと一緒に、苦い薬が体の中に流し込まれる。
続いて圭介は、汀の右手を掴んで、ポケットから出した小さな注射器を静脈注射した。
「落ち着け。ここは現実の世界だ。俺がついてる。分かるな?」
「ここ、どこ……?」
はぁはぁと荒く息をついて、汀がそう聞く。
彼女の右手を、両手で強く握ってしゃがみ込み、圭介は言った。
「元老院だ。お前、俺が渡した薬を飲まずに寝たな? 何回繰り返せば気が済むんだ!」
怒鳴られ、汀は力なく頭を振った。
「……覚えてない。分かんない……」
「…………ッ」
忌々しげに舌打ちをして、圭介は深く息をついた。
「……少し目を離すとこれだ」
そこで、汀の服にもぐりこんでいた小白が顔を出し、圭介の手に噛み付いた。
「痛っ!」
小さく言って、圭介が慌てて汀から手を離す。
「ニャー」
小白が威嚇するように鳴く。
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