過去ログ - 京介「思えば遠くへ来たもんだ」
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25: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:11:59.22 ID:sFmcGxH8o

「絶対に何もしないと、約束していただけますか?」

「この体勢でどうやってシャワーを浴びろってんだよ。
 それとも何か、あやせがバケツにお湯でも汲んできてくれるってのか?」

あやせも自分の言っていることに無理があると気付いたらしい。
ブツブツと独り言を言いながらも素直に手錠を外してくれた。

「なぁあやせ、俺がおまえの許しもなく何かしたことがあったか?
 俺たちは付き合いも長いってのに、未だにチューしかさせてもらってねぇだろが」

「チューしかって、でも、それは……」

バスローブ姿のあやせからは、ボディソープ特有の甘くさわやかな香りが漂う。
唇を尖らせながら俺を睨むあやせ、そんなあやせが俺には可愛くて愛おしくて仕方がない。
あやせはバスルームから出て来たときよりも更に顔を紅潮させて……

「おっ、お兄さんは――」

あやせにとってみれば、初恋の相手は特別な存在なんだそうだ。
長い人生のうちで、初恋はたった一度きりなんだと真面目な顔でのたまう。
あったりめーじゃねぇか。

「お兄さんが考えているようなことは、も、もっとずっと先のことです」

「はいはい、さいですか。
 俺は前倒しだろうが早回しだろうが一向に構わないんすけどね」

あやせの瞳がわずかに潤んで見える。

「……わたし、お兄さんのことは信用しています」

あやせの呪文は、俺にとってメテオインパクト以上の効果があった。


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