過去ログ - 京介「思えば遠くへ来たもんだ」
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3:VIPにかわりましてNIPPERがお送りします[sage saga]
2011/10/24(月) 02:22:57.32 ID:ucx2SsZ8o

「よろしければ、こちらでホテルを手配できますけど……」

「あっ、いや、それじゃあ申し訳ありませんし、駅まで行って適当に自分で探します」

「札幌駅の近くに、会社と提携しているホテルがあるんです。
 もちろん宿泊代は営業所で負担しますし、何も心配することはありません。
 ですから入居日まではそちらに宿泊してください。
 あっ、くれぐれも領収書だけは忘れないでくださいね」

ホテルへ飛び込みで入ったところで、必ずしも部屋が空いているとは限らない。
駅の旅行センターにでも頼めばいいんだが、宿泊代が営業所持ちと聞いちまった以上、
まだまだ薄給の新入社員の身では断る道理がない。
俺が返事に躊躇していると彼女もそこらあたりの事情を察してくれたようで、

「すぐに予約の電話を入れますから、お掛けになってお待ちください」

彼女は机の上の電話の受話器を取ると、慣れた手つきでホテルへと電話を入れた。
電話の応対といいホテルの手配といい、俺なんかとても敵いそうにもなかった。
一見すると今時のアイドルも顔負けの容貌だが、根は真面目でしっかり者なのかもしれない。

「高坂さん、ホテルの方は今日と明日の二泊分予約しておきました。
 あと、もしかしたら引越しの荷物も今日届くようにしてあるんじゃないんですか。
 それでしたら、わたしの方で連絡して営業所止めにしておきますけど」

宅配便で送った荷物は着替えや身の回り品だけだった。
しかし、俺は彼女に言われるまでそのことをまったくと言っていいほど失念していた。
彼女の機転のお蔭で、俺の荷物は宛先に該当なしという最悪の事態は逃れた。

「何から何までありがとうございます。
 来て早々ご迷惑ばかりお掛けして、本当に申し訳ありません」

「定時まではわたしも営業所にいますから、何か困ったことがあればお電話ください」

「いや、これ以上は営業所に迷惑を掛けるわけにも……」


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