31: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:16:34.18 ID:sFmcGxH8o
店は駅から少し離れたところにあったが、人気店らしく結構な客で込んでいた。
札幌にいる間は、休みのたびに一つひとつ食べ歩いてみるのもいい。
ガイドブックもいいけど、やっぱ自分の舌でお気に入りの店を見つけたいもんだ。
そうすりゃ今度あやせが遊びに来たとき……って、もう来ねぇかもしれんけど。
「やっぱ、札幌っつったら普通に味噌か?」
「う〜ん、そうですね。やっぱり、味噌ラーメンが一番好きですし」
「そっか、そういうことなら、俺も同じ味噌にすっかな」
「あっ、お兄さん……お兄さんはトッピングできるものは全部頼んでくださいね」
「全部……って、メニュー見んとけっこうあるし、そもそも何でそんなこと――」
あやせはふっと口元に笑みを浮かべ、俺を諭すように話し始めた。
「お兄さんが頼んだトッピングの中から、わたしが欲しい物だけをもらっていきます。
だって、女の子がそんなにトッピングを頼んだら恥ずかしいじゃないですか」
注文してしばらく待っていると、あやせの頼んだ普通の味噌ラーメンと、
ありとあらゆるトッピングでてんこ盛りになった俺の味噌ラーメンが運ばれて来た。
「じゃあお兄さん、申し訳ありませんが、カニの足は当然もらっていきます。
あっ、それからこれももらっていいですか?」
俺が唖然としている間に、あやせはチャーシューも味玉もコーンも……
海苔まで根こそぎ持っていっちまった。
「なぁあやせ、俺のラーメン……もやしとバターしか残ってねぇんだけどさぁ、
チャーシューの一枚くらいは残してくれてもよかったんじゃねーの?」
「お兄さんのくせして、何をそんな女々しいことを言ってるんですか。
もやしはこう見えても栄養があって、身体にいいこと知らないんですか?
そんなこと言うと、もやしももらっていっちゃいますよ」
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