32: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/26(水) 21:17:32.30 ID:sFmcGxH8o
あやせとの攻防戦の結果、チャーシューを一枚だけ取り返すことに成功した。
こんなことなら、初めっからドンブリごと交換した方がマシだったじゃねぇか。
俺はチャーシューを麺の下に隠しながら何気にあやせに訊いた。
「そういや、明日は何か用事があるようなこと言ってたよなぁ」
「ええ、ちょっと人と会う約束があるんです」
あやせとは長い付き合いとはいえ、俺が何でも知っているわけじゃない。
札幌に知り合いがいても別におかしくもねえし、それに俺には関係のないことだ。
しかしまったく気にならないかといえば、気にはなる。
「お兄さん、わたしが誰と会うのか気になるんじゃないんですか?」
「べっ、別におまえが札幌で誰と会おうが、お、俺には関係ねーことだろうが」
「うふっ、無理していませんか? わたしのことが心配で仕方がないんですよね。
わたしが会うのは女の人ですから、それならお兄さんも安心でしょ?」
ニヤニヤと笑いやがって、何でもお見通しってことかよ。
でも、あやせが男と会うつもりなんじゃねえかと勘繰ったって仕方がねえだろ。
誰がどう見たって、俺とあやせが吊り合っているとも思えねえしな。
ホテルへ戻る道すがら、あやせは時々立ち止まっては何かを探すように辺りを見回した。
大通公園の中にあるテレビ塔が目立つくらいで、他はどこにでもある都会の風景だ。
「どうしたあやせ。何か買いたい物でもあんのか?」
「いいえ、そうじゃなくて……明日からお兄さんはこの街で暮らすのかと思ったら、
何となくこの街の風景を目に焼き付けておきたくなっただけです」
「……そっか」
ホテルへ戻っても寝るには早く、かといってあやせに手を出すわけにもいかんし、
寝るまでの時間は部屋のテレビで映画を見ながらやり過ごした。
途中、悪戯心でアダルトチャンネルに変えたら枕で思いっきり殴られた。
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