55: ◆Neko./AmS6[sage saga]
2011/10/31(月) 00:44:44.86 ID:o3htaoiVo
このときになって、あやせが先輩に会いに行った本当のわけを知った。
俺は札幌に赴任することをあやせに黙っていたというのに……。
怒られてもなじられても当然なのに、それどころかあいつは頭まで下げて、
先輩に俺のことを頼んだんだ。
もう、限界かもしれなかった。
「何で高坂さんのことをそれほどまでに好きなんだろうって……
あやせちゃんなら他にいくらでも素敵な彼氏が見つかるはずなのに、
不思議に思ってわたしなりに考えたんです」
「何か……分かったんすか?」
先輩は俺の質問には答えず、俯きながらただ微笑むだけだった。
「人を好きになるって、もしかするとこういうことなんでしょうね……。
ねぇ高坂さん、もしよろしければ今晩――」
先輩が言い掛けた言葉を急に止めた。
代わりに、営業所の中でいつも見せるような屈託のない笑顔で俺に言ったんだ。
「ほらっ、お兄さんも頑張らないと、ねっ」
気付けば俺たちはもう社宅のすぐ前まで来ていた。
部屋には灯りがともり、俺を待っていてくれる人がそこにいた。
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