169:以下、あけまして[saga sage]
2012/01/04(水) 02:21:23.09 ID:AiUnSeA3o
「一つ確認させてもらう。お前は誰かに依頼されてこんな事をしたんだろう?」
「ハッ、その口ぶりだとこっちの事情も知ってて聞いてるって所ね。だったら隠す必要も無いか。
自分の意志でこんな汚ねえ所に来たんじゃない、その男を消せって頼まれただけ」
「もう一つ質問だ。その依頼の内容、本当に『消せ』と言われたか?」
「分かりきった事を聞いてどうすんの? その通り、確実に始末するのが今回の目的って訳だ」
この状況であっても女の態度は変わらない。神裂は相手の体が動くたびに刀の角度を変えている。
その言葉を聞いて土御門はまた女に問いかけた。
「だったらもう一度その依頼の内容を考えてみろ。殺せと言われたのかどうかをな」
「だからそうだって言ってんだろうが! この男を――」
そこで女は気が付いた。改めて依頼された時に言われた言葉を考えると、
「君に依頼する、この男に対して君の力を振るってもらいたい」、つまりは殺せとは言われていなかった。
「どうだ? 何かに気が付いたように見えるが」
「……へぇ、そういう事。あの野郎、くだんねえ事に付き合わせやがって……」
上条と神裂は現状を理解できていなかった。ただ一つ分かるのは、流れが変わった。
先程までの命の奪い合いをするか否か、という状況とは離れている。
「さて、まだ続けるか? それとも」
「これ以上付き合ってらんないわ、後は適当に処理しといて」
女の言葉を聞いて土御門はただ一言、「分かった」と答えた。
そのまま女はその場から去り、後に残されたのは四人と散々に荒らされた廃工場だけだった。
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