過去ログ - 女教師「折角のクリスマス・イヴだし、付き合ってあげる」
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nu
[saga]
2011/11/19(土) 19:25:48.18 ID:E5NSglYM0
不意に思い立って、僕は自分の鞄の中に入れていた作業用カッターを手に取ってみた。
家に何故か置いてある大きなカッターナイフ。
僕は今日、これを鞄に入れて街に飛び出した。
これで何をしようとしてたのかは分からない。
誰かを殺そうとしていたのか、自分を殺そうとしていたのか。
先生が自分の行動の真意を分かり切っていなかったように、
僕も自分が何をしようとしているのかは分かっていなかった。
僕と先生は真の意味で似た者同士だったんだ。
もしかしたら、先生も僕の鞄の中身に気付いていたのかもしれない。
だから、僕から鍵を奪い取って、僕を連れ回したのかもしれない。
それを確かめる術はもう無いけれど……。
でも、それは多分、僕にとっていい形の奇蹟だったんだと思う。
瞬間、僕は重大な事に気付いた。
頭の中からすっかり消え去っていた。
僕と先生の奇妙なイヴが始まる切欠を、僕は完全に忘れ去ってしまっていたのだ。
つまり……。
「先生に鍵返してもらうの忘れてた……」
身に染みるほど寒いイヴの夜、
呆然とした僕の言葉は虚空に消えた。
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