19:にゃんこ[saga]
2011/11/26(土) 19:26:14.31 ID:/PU8g+sf0
「ふうにょん!」
意を決して出したワタシの言葉は簡単に掻き消されてしまった。
気が付けば、小さな女の子に向かってワタシと同い年くらいの女の子が駆け寄って来ていた。
少し長めの黒い前髪を額の中心辺りで分けた華奢な女の子……。
その子は本当に心配そうな表情で小さな女の子に手を差し出していた。
この子は髪の短い小さな女の子(ふうにょん?)のお姉さんなのだろうか。
「だ……、大丈夫、なので」
ふうにょん(?)は膝を擦りながら、髪の長い女の子に差し出された手を取って立ち上がる。
幸い、ふうにょん(?)は身体の何処にも傷を負ってはいないようだった。
少しだけ、安心する。
「ごめんね、ちひろちゃん。
ももねこさまを見つけちゃうと、私、つい夢中になっちゃって……」
「ももねこさまが可愛いのは分かるけど、
もっと気を付けなきゃ駄目だよ、ふうにょん」
「うう……。面目ない、ので」
恥ずかしそうにふうにょん(?)は縮こまる。
どうも髪の長い方の女の子はちひろちゃんという名前らしい。
姉妹なのだろうか。
と。
急にふうにょん(?)は焦ったように周囲を見回し始めた。
何を捜しているのだろうとワタシもふうにょん(?)の視線の先を追う。
そして、ワタシとふうにょん(?)はほぼ同時にある事に気付き、一緒に肩を落とした。
「ももねこさま……、何処かに行っちゃった……」
何時の間にかももねこは居なくなっていた。
ネコなのだるそれくらいの気紛れは日常茶飯事だろう。
ふうにょん(?)はとても残念らしかったが、ワタシもすごく残念だった。
もう少しでももねこのスケッチが完成していたのに、残念だ。
竹原に居る間、もう一度ももねこを見掛ける事はあるのだろうか。
探すとネコは見つからないというジンクスもある。
何だかちょっと不安だ。
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